将来の「介護」に備える家づくり 〜福祉住環境の視点で読み解くトイレ空間設計〜


はじめに

日本の少子高齢化は急速に進み、今や誰もが将来、“介護する側”あるいは“介護される側”になる可能性があります。

家族の誰かが要介護状態になったとき、

または自身の老後を考えたとき、最も生活の質(QOL)に影響する場所の一つが「トイレ」です。


本記事では、福祉住環境の視点から、より専門的に

住宅のトイレ空間をどう考えるべきかを詳しく解説していきます。


なぜトイレが重要なのか?

トイレは日常生活において欠かせない設備である一方、

「介護の負担が最も大きい場所」とも言われています。

以下は主な理由です。


プライバシー確保と介助の両立が難しい


車椅子や歩行補助具を使用する際、スペースが足りない


におい、衛生面での管理が困難


夜間頻尿による転倒リスク


しかし‼


これらの課題は、「建築段階での配慮」により、

大きく軽減することができます✨


提案①隣室との間仕切り壁で将来の拡張性を確保

弊社が提案する一つ目のポイントは、

「トイレの隣にある部屋との間仕切りを工夫すること」です。

実用例

通常のトイレ幅は約80〜90cm程度ですが、将来的に介助を想定するなら幅は少なくとも120〜160cm程度は必要です。介助者が横に立ち、身体を支える、もしくは車椅子から便座へ移乗させる動作が必要なためです。


この時、隣接部屋との壁を「撤去・移動しやすい構造」にしておくことで、リフォーム時にトイレを簡単に広げることができます。


ポイント

あらかじめ非耐力壁を用いる(リフォームが容易)


コンセント・配線を壁から離しておく


トイレと隣室の床の高さを統一しておく(段差解消)




提案②洗面・脱衣・トイレの一体設計で省スペース介護

もう一つの提案は、水回りをまとめて一つの空間にするという設計です。

 例えば、約4〜6畳程度の空間に、トイレ・洗面・洗濯機・脱衣スペースを収めつつ、必要に応じてカーテンや引き戸で仕切れる設計が理想です。

メリット

広さを確保しやすく、移動も楽

洗面・トイレ・入浴が一体の生活動線で完結する


介助者がサポートしやすく、ストレスが少ない



ポイント

トイレに手すり(L字型や縦型)を設置できる下地補強


床材をすべて防水・滑りにくい素材に統一


スペース内で車椅子が360度回転できる床面積

(直径1.5m以上)




「将来に備える家」は今、つくる

「今すぐ必要でなくても、後から簡単に対応できる設計」

例えば、

次のような設備や設計を最初から意識しておくことで、

人の変化に対応できる家造り=ずっと心地よい家造りにつながります。


推奨される初期設計項目

バリアフリー対応(段差解消、手すり用下地)


コンセント位置の工夫(車椅子・医療機器対応)


引き戸の採用(介助者と同時に出入りしやすい)


天井補強(将来のリフト設置なども可能)



弊社は、地元・北摂地域での家づくりにおいて

先を見据えた暮らしを提案している企業です。

構造的にも性能的にも高い水準を確保しているため、

福祉住環境の観点を自然に取り入れやすい素地があるといえます。


注文住宅である「HOMA」や「Arie/HUCK」は、

設計自由度が高く、福祉設計の導入にも適している

住宅商品といえるでしょう。


まとめ

〜「備えあれば憂いなし」の家づくりへ〜

介護を必要とするような事態は、

誰にでも突然訪れる可能性があります。

しかし、あらかじめ「備え」をしておくことで、

その負担を最小限にして介護される側も、する側も、

笑顔で暮らせる空間をつくることができます。